夜。家族や近所の人がよろずやのようなホテルの一部に集まってきました。
土間の思い思いの場所にビニールの椅子を置いて・・・テレビの時間です。
テレビは2メートルくらいの高さの壁に置いてあり、みんな上を向いて見ています。
疲れるけれど、これだとかなりたくさんの人が見られるという知恵のようです。
土間にいるのは10数人。
その一番前にこの家の長老らしきおじいさんが座っていました。
赤のチェックに赤の帽子をかぶったおしゃれなおじいさんですが、なかなか頑固もののようです。
土間にでてきてしばらく、何の番組をやっているんだろうと見ていました。
初めはニュースでした。たぶん、ネパールのではなさそう。
次にCNNが入りました。これもしばらく見ていました。
だいたいこんな番組なんだな~とわかったころに、チャンネルが変わります。
初めはテレビの設定がそんな風になっているのかと思いました(笑)
おじいさんでした。
おじいさんの手にはしっかりとリモコンが握られ、見る番組の決定権は彼にあるようでした。
みんな(あ、これ見たい!)と思ってもしばらくすると、おじいさんがピッピッとチャンネルを変えてしまいます。
「あ~」とか「見てたのにな~」とか若干小さな声で抗議しますが、聞こえてないのか気にしないのか、おじいさんは常にマイペース。
こうなると、このおじいさんは何の番組で手を止めるのかが気になってきました。
料理番組、ドラマ、討論会、いろいろな番組のチャンネルにあわせるのですが、一定時間経つと「もうよし」といった感じでころころとチャンネルを変えてしまいます。
それにしても、このネパールの山奥で、こんなにたくさんのチャンネルが見られるとは驚きです。
それもこれも、ソーラー発電と衛星放送のおかげなのです。
特に気に入った番組がなかったらしく、おじいさんはある程度のところでテレビを消してしまいました。
そのあと、誰かがリモコンをとって、テレビをつけてもいいようなものですが、みなあきらめて、(今日はおしまい)ムードになりました。
ネパールの「年長者の意見は絶対!」の一部を垣間見た気分でした。
やることもなくなったので、外に出てみると・・・満天の星!
これまでみたどの星空よりも星がぎっしりと詰まっています。
横にいた若い子に「いいな~こんな星空がいつも見られるんだね」というと
「そんなのはどうでもいい。ここには何もないんだ。早く町に行きたいよ」とつまらなそうに話してくれました。
毎日毎日、見たいテレビも見られず、できることといったらこぼれ落ちてきそうな星空を眺めること。
どれだけすばらしい自然でも、身近にあるとその尊さは忘れてしまうかもしれない。
確かに、嫌になってしまうのかもしれない。
でも、彼が町に行き、辛くなったとき、寂しくなったときにきっとこの空を思い出すんじゃないかなあとも思ったのでした。
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